こんにちは、起業支援として会社設立や融資支援をしている大阪府大東市の行政書士の
濵元 英徳です。

前回の投稿でも記載していますが、2024年11月26日(日)の日本経済新聞に、興味深い記事がありました。
「金融庁の金融機関向け指針、資金繰り→再生支援に軸」に書かれていた概要は以下の通りです。

「金融庁の金融機関向け指針、資金繰り→再生支援に軸」に書かれていた概要は以下の通りです。

●2024年春に改正する監督指針には、「企業の資金繰りから事業再生に支援の軸足を移す」ように明記される

●過剰債務を抱える融資先に対しては債権放棄を含む抜本策の実施を促す。安易な返済猶予によって企業の経営状況がより深刻化するのを防ぐ

●今回、再生支援にかじを切るのは、安易な返済猶予が事業再生をより難しくするとみているため

●資金繰りを支えた実質無利子・無担保のゼロゼロ融資は、借り換えが来年4月でほぼ一巡する

●多くの金融機関はコロナ禍で過剰債務に陥った企業向け融資を正常債権として扱っており、倒産に備えた貸倒引当金を十分積んでいない

出典:日本経済新聞『金融庁の金融機関向け指針、資金繰り→再生支援に軸 来春改正、コロナ対応一巡』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76424090W3A121C2MM8000/

追加融資の審査は厳しくなり、リスケが認められにくくなり、もちろん新規融資の道も狭まります。

金融庁は「金融機関向けの監督指針」に従って各金融機関を監督・指導しています。
また金融機関はこの監督指針に従って業務を行っており、従わなければ金融庁から指導が入ります。

そのため、一般的に金融機関は監督指針を遵守しようとします。

金融庁の監督指針の変更は金融機関の融資方針に大きな影響を与えるため、監督指針がどのように
変更されるのか注視しています。
今回の改正をひとことで言えば、追加融資の審査も、リスケも、もちろん新規融資も、渋くなる
考えます。

監督指針の改正で今後、金融機関の融資方針はどのように変わるのか

監督指針の改正により、金融機関の融資方針は下記のように変更となるのではと考えられます。

(1)融資審査が厳しくなる

これまでは「取引が長い」、「担保がある」、「保証人がいる」事業者に対し、業績が悪化していても、
従来の慣習により融資を行うケースが少なくありませんでした。

改正後は、業績が悪化している事業者に対して金融機関も「資金繰り支援をすべきか」、「経営改善
支援や事業再生支援を行うべきか」を見極め、安易な融資を行わないよう融資審査を厳しく行うこと
になるでしょう。

(2)リスケも安易に認めてもらえなくなる

「安易な返済猶予が事業再生をより難しくする」と金融庁は見ているため、今後の金融庁検査では、
「そのリスケは事業再生につながるものか」「安易な返済猶予になっていないか」について重点的に
指摘を行うようになるでしょう。

一方、金融機関としては、金融庁からのリスケ先に対する指摘⇒指導を避けたい。
そこでリスケ依頼に対して、「経営改善の実現可能性」をチェックした上で、可能性が低いと判断した
場合はリスケを認めないということになり得ます。

(3)コロナ融資の残高が多い事業者への融資はより慎重になる

多くの金融機関は、コロナ禍で過剰債務に陥った企業向け融資を正常債権として扱っており、倒産に
備えた貸倒引当金を積まなければならない状況と聞いています。

金融庁は今後、コロナ融資の残高が多い先に対する「格付け」(貸倒引当金の算定根拠となるもの)を
厳格にするよう金融機関に求めるようになることが予想されます。

そこで金融機関も、該当する事業者への新規融資については慎重になるでしょう。

専門家への「経営改善・事業再生サポート」依頼は増える

金融庁の監督指針の変更により、金融機関は今までよりさらに「経営改善支援」や「事業再生支援」に
取り組まざるを得なくなります。

「実現可能性が高い経営改善計画書」を作成でき、金融機関から求められるようになるでしょう。