事業の拡大に伴い、個人事業から法人への移行を検討される方が増えています。
特に取引先から法人化を求められるケースも少なくありません。
本記事では、実際の相談事例を基に、株式会社設立の具体的な手順から、許認可の
切り替え、設立後の実務対応まで、法人化に必要な情報を詳しく解説していきます。
これから法人成りをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

 

「ホームページを見て相談の電話をしました。」と10月初旬に電話がありました。

現在は、個人で数人の気心の知れた仲間と事業を行っているけど、

株式会社にしたいとのことでした。

株式会社にしたい理由そしては、 大手スーパーの催し物に出店するに当たって、

スーパー側からは個人事業ではなく法人であることが必要という回答があったとのことでした。

相談者の事業は許可が必要な事業ですが、

個人名義で取得した許可を法人で使うことはできないので、

新たに法人での許可を取得して、 個人名義の許可を廃業する必要があります。

 

株式会社設立だけでなく、

法人での許可取得と個人名義の許可を廃業という手続が必要であり、

そのスケジュールを考慮した相談対応となりました。

 

まず株式会社を設立する方法は、大きく分けて2種類

(1)発起設立

(2)募集設立

あるというところから、説明を始めました。

これまで設立した株式会社は、

発起設立を選択する方だけで、

発起人の人数や手間を考えても募集設立を選択する相談者はいませんでした。

 

その次は、株式会社設立手順の説明になります。

この時点で相談者は、発起設立を選択していますので

以下の順序での説明になります。

発起人を決める
会社の基本事項を決める(商号、事業目的、本店所在地、資本金、設立時取締役など)
商号が決まったら会社代表印(会社ゴム印、銀行印)を作る
定款(案)を作成する
発起人に定款案を説明して、発起人間で定款(案)の内容を確認してもらう
公証人に定款(案)を送付して、内容確認してもらう
公証人から定款(案)に対する指摘があれば、修正して発起人間で定款(案)の内容を再確認してもらう
発起人全員から定款認証の委任状に押印してもらう
公証役場で公証人による定款の認証を受ける
発起人の通帳に出資金を払い込む(預け入れではなく、振り込みです)
通帳のコピーから払込証明書、取締役就任承諾書、印鑑届出書、印鑑カード交付請求書などを作成する
法務局に登記申請する
※設立登記については、当事務所では提携の司法書士事務所に依頼しております。
株式会社が設立 
※登記申請日が会社設立日です。発起人は、ほとんど「大安」を選びます。

登記が完了
※司法書士事務所から履歴事項全部証明書(登記事項証明書)印鑑カードなどを受け取りますので、依頼者様にお渡しします。

 

定款作成でも必要となる株式会社設立時に決める基本事項についても

説明しました。

・商号(社名の決定)

・業目的を決める (会社が行う事業内容の決定)

・本店の所在地を定める (会社の住所を何処にするか)

・資本金の決定

・発行可能株数と株数

・発起人の決定(出資者の決定)

・株式譲渡制限の有無

・事業年度の決定

・機関設計
  ●株主総会:すべての株式会社で必ず設置
  誰が、どの役員に就任するのか
  役員の任期
  役員の人数 
  ●取締役
  ●取締役会
  ●監査役
  ●会計監査人
  ●会計参与

 

会社設立直後の手続として説明するのは、

・税務署へ法人設立届出

・都道府県税事務所へ法人設立等申告

・市役所へ法人設立(開設)・異動申告

・法人の銀行口座の開設

・社会保険(健康保険・厚生年金保険)手続き

・労働保険(労災保険・雇用保険)手続き

になります。

 

法人成りとなる場合の資産の引き継ぎについても説明するのですが、

詳細については税理士にご相談することをお勧めしています。

 

株式会社設立相談の終わりには、

現時点での法人成りのメリットとデメリットも説明します。

メリット①給与所得控除によって節税

メリット②消費税の納付を2年間免除される場合がある

メリット③役員報酬として給与を受給できる

メリット④社会的信用度が上がる

メリット⑤有限責任(基本的には出資金額によって責任)である(事業主の連帯保証を除きます。)

メリット⑥事業承継が個人事業よりも難しくない

 

デメリット①事務的な負担が格段に増える

デメリット②設立の際に法人登記費用が必要

デメリット③赤字でも法人住民税の均等割は支払義務がある

デメリット④従業員の社会保険や労働保険の負担が発生

まとめ

今回の記事では、個人事業から株式会社への法人成りについて、実際の相談事例を基に詳しく解説しました。

法人成りの検討時には、以下の重要なポイントを押さえる必要があります:

  1. 移行の理由を明確に
    • 取引先からの要請
    • 事業の規模拡大
    • 社会的信用度の向上など
  2. 必要な手続きの全体像を把握
    • 株式会社設立手続き
    • 許認可の切り替え
    • 各種届出や登録
  3. メリット・デメリットの検討
    • 税務上の影響
    • 管理コストの増加
    • 社会保険等の負担

法人成りは事業の転換点となる重要な決断です。
この記事で説明した内容を参考に、専門家とも相談しながら、慎重に検討を進めることをお勧めします。
特に許可事業を営んでいる場合は、行政書士という専門家と相談しながら許可の切り替えのタイミングにも
注意が必要です。

お困りの際は、まずは会社設立支援、許認可の濱元行政書士事務所への相談から始めることで、スムーズな
法人化への道筋が見えてくるでしょう。