創業を志したとき、

そんな業種で創業するのか、

創業する事業の業務経験がある・なし、

商品・サービスの提供方法(業態)、

どれだけの需要があるのか・どのように需要を掘り起こすか、

集客方法(宣伝広告)、

創業にかかる費用の総額はいくらになるのか、

どうのように、いつまでに資金を調達するのか等、

考える項目が多岐にわたることでしょう。

その中で、一番悩むこと、ハードルとなるのが資金調達です。

創業時の資金調達として、創業に必要な金額すべてを自己の預貯金を使って始めることができれば簡単だと思います。

ただ、衣食住といった生活費、ローンの支払いなどを考えると余裕をみて、創業に必要な資金の半分だとか、何割かを使い、不足分は金融機関から借りたり、親族から出資してもらうことを考える方がいることでしょう。

または、自己資金なしで全額(つまり10分の10)借り入れして開業する考える方もいらっしゃいます。

自己資金が全くなしで創業融資を受けるというのは、かなり難しく融資の可能性が下がってしまいます。

 

創業融資では、自己資金として給与の中からコツコツとある程度貯めてきたけれども、創業する上で内装工事費や機械器具といった設備資金だとか、仕入れ資金や人件費の数ヶ月分などの運転資金を計算したところ、創業時にお金が必要な中でどうしても自己資金だけは足りないから、その足りない部分を金融機関から融資してもらうというのが創業時の融資を受けるの基本的なスタンスです。

創業に向けて準備をしてきたかの具合を測る物差しの一つとして、自己資金の額が準備の度合いというところになります。創業を志して本気で準備してきた人は、創業に必要な設備資金や運転資金っていうのを計算し、その計算したお金をどのように調達しようかっていうところで、給料からコツコツとお金を貯めながら、自ら用意して準備するだろうというのが基本的な考えです。

そこで、創業資金として足りない部分は融資という形で貸してくださいとなりますので、自己資金がゼロなので全額貸してくださいというのは、「創業に向けて準備しなかったのですね。」と見られることになります。

なので全て(つまり10分の10)の開業資金を融資でまかなうっていうような発想というのは、基本的にはないと考えた方がよいです。

 

自己資金とは

自己資金の定義を検索してみると、日本政策金融公庫サイトにある創業者向けの「新創業融資制度」のページには「事業に使用される予定のない資金は本要件における自己資金に含まない」といった記載がありますので、事業に使用する予定の資金が自己資金だと考えているとみえます。
また、日本政策金融公庫のサイト内にある用語集ページには、自己資金の説明として「一般には、手許現金や預金等の自己の保有する資金のことをいいます。」の記載はありますが、上記の「事業に使用する予定の資金が自己資金」と考えてよいだろうと私は思います。

信用保証協会においては「原則として事業を開始しようとされる方が当該事 業に充てるために用意したもののうち、返済義務の ない資金です。」とあります。

創業融資において金融機関から自己資金と認められる必要があるのですが、これまで預貯金口座で管理しており、通帳で貯めていることが見える状態がよいです。

通帳に貯めてきたことが分かるお金

どのように自己資金を貯めてきたのかが分かることが必要で、そこで通帳にコツコツと貯めてきたことが分かるのがよいです。給与振込口座であれば、会社から給与が振り込まれており、そこから生活費が引き出されて、残りを貯めていることになるでしょう。

もしくは、別の預貯金口座に一定額を毎月振り込んでいて、何年もたっていることもあり得るでしょう。

何年も貯めていることが、計画的に準備しているように見えて、評価の効果があります。

親族等から支援金として、返済義務のないお金

創業の際に親兄弟などの親族などから資金の支援を受ける場合があります。

支援を受ける場合には、贈与契約書を締結するなど、贈与の証拠を具体的に残しておくことが必要です。
贈与契約書を公正証書で作成するか、確定日付を入れることをおすすめします。

その上で、現金手渡しではなく、親兄弟の名義で振り込まれていることが必要です。

通帳の明細に親兄弟の名義で振り込まれていることが分かるからです。

退職した会社からの退職金

創業するに当たって、会社を退職して退職金を元手にすることを考える方もいらっしゃいます。

退職金なんかいきなりお金が振り込まれていても、退職金は自己資金としてみなすてくれます。
ただ、退職金を自己資金としてみなしてもらう場合は、その振り込みが退職金であることの証明できる書類が必要です。

当然、会社の方から退職金として支払われていますので、会社の方からその退職金支払いの支払調書みたいな書類を必ず頂けることから、提出する必要があります。

なお、その振り込みが勤めていた会社から振り込まれたっていう通帳の明細にその会社から振り込まれたという記載があることも重要になってきます。

自分名義の資産を売却して得たお金

自分名義の資産、例えば車や上場株式といった有価正面を売却して得たお金も自己資金としても求められます。

ただし、自分も資産であったことや売却したことを証明する書類を用意しておきましょう。

売却代金が振り込みされる場合には、振り込みする会社名が通帳に記載されていることの確認をしておきましょう。

みなし自己資金

事業を始めるに当たって、事業に必要である機械器具等の備品類をすでに購入している場合、その購入金額を自己資金として判断してもらえることがあります。

ただし、創業計画にその機械器具などの備品があることが必要ですし、領収書が必要となります。

自己資金として認められないお金

自己資金として以下のものは認められないので、注意が必要です。

タンス預金

預金口座に預けておらず、現金を封筒に入れてタンスの引き出しにしまってあるようなお金は、自己資金として認められないです。

みせ金

上記の記述では、金融機関の担当者に通帳を提示することを記載しました。

突然、大金が振り込まれており、お金の振り込み元が不明が場合があったりします。

金融機関の担当者としては、その大金の振り込み元を確認しますので、担当者が納得できるまで追加の通帳を提示したり、追加の説明が求められます。

最終的にみせ金だと判明した場合、信頼ががた落ちとなったり、姑息な手段で融資を得ようとしている人だと判断されることがありますので、みせ金は止めるべきです。