中小企業や個人事業主の経営者は、毎年の確定申告時に「決算書」を作成、
又は、
顧問税理士に依頼して作成してもらい、税務署へ提出します。

決算書は単に赤字・黒字と言った損益確認をする、税務申告をするためだけ
ではありません。
会社の経営状態や財務状況を客観的に把握し、今後の経営判断に役立てるために
非常に重要な資料なのです。

今回の投稿では、決算書の基本的な読み方のイロハとして、その活用ポイントに
ついて解説します。

■ 決算書を読む目的

決算書を読む最大の目的は「経営者が経営状態を数字で把握して、今後の意思
決定に役立てる」ことにあります。

例えば、金融機関から融資を受ける場合や事業投資の判断材料として用いられる
資料が決算書です。
また、中小企業は決算書を公開していることはほとんど無いことから、業界平均を
見ることで、自社との比較分析も可能になります。

決算書の数字は自社の経営状態が如実に現れるため、感覚的な経営から一歩抜け出し、
「数値に基づく経営」へとつなげることができます。

■ 決算書の基本構成

決算書には主に次の五つの書類があります。

貸借対照表(B/S:バランスシート)

会社が「どこから資金を調達しているか、どんな資産を持っているか、資金をどう運用したのか」を一定の時点(決算日)で示すものです。
左側(借方)には資産、右側(貸方)に負債(他人資本)と純資産(自己資本)が記載されています。
ここを見ることで、過去の経営の蓄積や財務的な健全性(安全性)が分かります。
過去3~5年分を比較することで、会社の資産状況、負債・純資産状況の推移を確認できます。


損益計算書(P/L:プロフィット&ロス)

会社が「どれだけ儲かっているか」を見る書類です。
売上高から売上原価を引いた「売上総利益」、「売上総利益」から販管費を引いた「営業利益」、「営業利益」から金融収支を加減した「経常利益」、「経常利益」から一時的な損益を加減した「税引前当期純利益」、最後には「当期純利益」が記載されます。
過去3~5年分を比較することで、会社の成長性や収益性を見極めることができます。


キャッシュフロー計算書(C/F)

現金の出入りを把握するための書類です。
中小企業や個人事業主には作成義務はありませんが、資金繰りに悩む企業ほど作成を推奨します。
利益が出ていても、手元資金が枯渇すると経営は続きません。


株主資本等変動計算書

資本金や利益剰余金などの増減を記載。資本政策を意識する際に重要です。


個別注記表

決算数値の補足説明や重要な会計方針などが書かれています。

■ 決算書の読み方のポイント

企業の成長性

直近の1年分だけ見るのではなく、過去3~5年分の決算書を比較しましょう。
売上や利益が安定的に伸びているか、また大きな変動はなぜ起こったのかを分析します。

収益性

損益計算書に記載の「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の推移とともに、「売上高利益率(=利益÷売上高)」もチェック。前年比で利益率が上昇していれば、収益性が高まったと評価できます。

安全性

貸借対照表の「自己資本比率(=純資産÷総資産)」や「流動比率(=流動資産÷流動負債)」などの財務指標で、企業の体力や資金繰りの安全性を判断します。
これらの数値が低い場合は、外部環境の変化に弱いと考えられます。

■ 最後に

決算書は「会社の健康診断書」とも言えます。
経営の全体像と細部を知るために、まずは決算書を自分で読み、数字の変化や傾向に関心を持つことが、経営者としての第一歩です。
融資や資金調達の場でも、経営者自身が金融機関の担当者に対して数字を正しく説明できれば、金融機関との信頼構築にも大きな武器となります。
経営者として、最低限の決算書の読み方を身につけておくことをお勧めしています。