創業融資を成功させるための3つの壁を乗り越えよう!

創業することを決意して、給料の中から創業資金をコツコツ貯めてきました。
創業の目標日を決め、事務所費+設備費+運転資金を合計した創業費用総額を計算したところ、
給料からコツコツと貯めてきた自己資金だけでは不足することが判明しました。

そうなると、親族から借りることを考えたり、金融機関からの創業融資が頼りと考えます。
本投稿では、金融機関からの融資について投稿しています。

そこから、創業資金が足りていない、自分は金融機関からの創業融資を受けることが出来るのか
不安を感じている方も多いのではないでしょうか?

それは日本政策金融公庫の創業融資や地方自治体の制度融資を利用する場合でも同じです。

これから説明する3つの壁を乗り越えることができなければ、創業融資を満額、もしくは充分に
借りることは難しいです。

今回の投稿では、創業融資を満額、もしくは充分借りるために乗り越えるべき3つの壁に
ついてお伝えいたします。

1つ目の壁:法人の普通預金口座の開設

個人事業で開業した事業主だけでなく、新たに会社を設立した事業主様からの相談で「金融
機関で普通預金口座の開設を断られた」ということが増えてきたように感じています。

金融機関が開設した法人口座が反社会的勢力に悪用されたと判明すると、金融機関には金融庁
から数々の指導が入ります。
そのため、新たに会社を設立した事業者からの法人口座開設について、金融機関は慎重に調査
しています。
マネーロンダリング(資金洗浄)対策の強化もあって、金融庁の「反社会的勢力による口座
利用の防止」に関する指導が次第に厳しくなっているようです。

反社会的勢力でなくても、起業家を装って複数の金融機関を欺き、法人口座を多数開設して
マネーロンダリング(資金洗浄)していたことが、新聞やテレビなどで最近大きく報道され
ています。
インターネットでも頻繁に事件報道されていることはご存じでしょうか。

「法人口座が開設できないなら個人口座を」と、反社会的勢力が振込先として利用することも
あるようです。
お金に困った個人が、反社会的勢力とSNS経由で情報をやりとりして、個人口座を作成し、
その通帳や印鑑、カード類を売り渡すケースが増えているとの報道も最近よく見ます。

そのことから金融機関は、個人口座開設時も細かい点を質問・確認し、詳細な調査を行うように
なったようです。

金融機関にとっても平成・令和時代、グローバル化、インターネット技術も含むめまぐるしい
変化に伴い、新しいルールをいくつも導入しているようです。

当事務所で設立した株式会社が法人口座を開設するために金融機関を訪問した際、古物商の
会社で事業目的に古物営業を記載していたことから、金融機関から古物営業許可証の提示を
求められました。

金融機関が採用している新しいルール、ホームページに掲載している必要書類などを事前確認
・準備をして、金融機関で法人口座開設を行う心掛けが必要です。

2つ目の壁:創業計画書や添付資料(損益予定表・資金繰り予定表など含む)の作成

創業計画書とは、創業融資を提供している日本政策金融公庫や金融機関・信用保証協会などに
提出し、審査を受けるための重要な書類です。
創業計画書や添付書類(損益予定表や資金繰り予定表)の内容は、融資の可否や融資の金額に
大きく影響します。
つまり、創業計画書は、あなたの事業の成否や将来を左右する重要な書類なのです。

金融機関に対して「どうやって事業を展開・発展させていくのか?」を具体的に提示するため
の創業計画書ですが、満額借りるために「何を」、「どのように」記入・作成すれば良いのか
経験したことのない創業者にはわからないことばかりです。

日本政策金融公庫の創業融資、地方自治体の制度融資のどちらにしても、ほとんどの場合は指定
の創業計画書の書式があります。
どちらの場合も、その書式に記入することが基本となります。

日本政策金融公庫の創業計画書を例に説明します。
以下にあるURLをクリックすると、日本政策金融公庫の創業計画書の書式がダウンロード出来ます。

PDF版:https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_240401b.pdf
EXCEL版:https://www.jfc.go.jp/n/service/xls/kaigyou00_240401a.xlsx

※注記
所定様式のため、ファイルが保護されています。
記載枠に記載内容がおさまらない場合には、別紙(様式適宜)の作成が必要です。

日本政策金融公庫の創業計画書に書く項目は、
「創業の動機」
「経営者の略歴等」
「取扱商品・サービス・セールスポイント」
「取引先・取引関係等」
「従業員」
「借入の状況」
「必要な資金と調達方法」
「事業の見通し」
の8項目です。

ダウンロードした創業計画書の書式を見て、どう思ったでしょうか。
この書式では、記入する行数が少なく、書きたい内容を書くことが難しいと感じませんか。
創業する事業に対して重要なことを伝える内容が少ないのは、金融機関に事業の魅力を伝えるには
難しいと感じることでしょう。
そこで、創業融資を借りたいと思っているなら、別紙に詳細に創業計画の内容を記載する必要があり
ます。

公庫の創業計画書の各項目について解説します。

(1)創業の動機
なぜ、この事業を始めたいと思ったのか?創業する事業のきっかけ、目的を記入します。
金融機関の担当者が納得・共感するように、しっかりと考えて記入することが大事になります。
金融機関の担当者に、あなたが始める事業を応援したい、融資したいと思ってもらう内容が必要
です。
面談の際にも、金融機関の担当者に、あなたが始める事業を応援したい、融資したいと思ってもらう
ことが大事です。
「初めての創業であったとしても、経営者として事業を継続する、成功させるという熱い意気込み」
も融資の可否に欠かせない重要な要素です。

(2)経営者の略歴等
初めて創業する方の場合には「過去の事業実績」で審査ができないことから、経営者自身のキャリア
・経験・実績・資格が重要になってきます。
前職やアルバイトでの経験年数、実務経験で得た知識なども含め、積極的に記入しましょう。

(3)取扱商品・サービス・セールスポイント
創業する事業の商品・サービスの写真、メニュー一覧、販売方法などがわかる資料を用意して、これ
から始める事業を、具体的に、わかりやすくアピールできるよう記載しましょう。
融資担当者も「人間」ですので、あなたの口頭での説明よりも、一目見てわかりやすい図式(商流図)
作成することが良いです。

(4)取引先・取引関係等
取引先として考えている企業や、ターゲットとなる顧客などを記入しましょう。

(5)従業員
あなたの事業を展開するためにも必要な従業員の人数を記入します。
経営者単独で創業する場合は、もちろん1人でも構いません。

(6)借入の状況
申込み時点での借入先・借入残高・年間返済額を記入します。
住宅ローンやオートローン、キャッシングなど正直に記載しましょう。
キャッシングなどの借入については、可能な限り返済しておきたいところです。

(7)必要な資金と調達方法
事業で必要となる機械設備・工具、車両運搬具、備品などの内訳・金額等は、見積書を取り添付する
ことが必要です。
「運転資金」については、2~3ヶ月分の見込み額をしっかりと準備しておきましょう。
「何に、いくら使うか?」という点が最重要ポイントとなりますので、根拠があるように詳細を説明
できるように記載します。

(8)事業の見通し
最も重視される項目で、「事業を続けて、現実的な売上・利益をいかに出すことが出来るのか?」が
大きなポイントになります。
可能であれば、仕入れ先や売り先との契約書や覚書を準備する等、事業の実現可能性を示すことが大切
です。

今、説明した項目を詳細に説明し、担当者に「この創業計画なら実現可能性がある、成功の可能性が高い」
と思ってもらえないと、創業融資は借りられないことになります。

説得力がある創業計画書になるかどうかが、融資に大きな影響を与えるポイントです。

3つ目の壁:融資担当者との面談

創業融資で金融機関担当者との面談では、作成した創業計画書や売上や損益予想に基づいて、融資担当者
からさまざまな質問に答えます。
面談する融資担当者は、創業計画書と添付資料を基にあなたの個人信用情報や創業する事業の市場調査等
を十分に調査した上で、面談に臨んでいます。
創業計画書や添付資料の内容が充実していても、融資担当者との面談の後、審査して否決されることが
あります。
否決される理由は、面談に臨んだ創業者が創業計画書の内容についての質問に、きちんと説明できない
場合があれば、融資担当者は「あ~、この創業者では、創業計画の通りに事業を進めるのは難しいので
はないか。」と判断してしまうからです。

面談に臨む際は、創業計画書の内容を理解した上であらかじめ質問されるであろうポイントを把握して、
質問に対して円滑に回答・説明できるように、事前練習が必要です。
その事前練習を行うのと行わないのとでは、融資の可否に大きな影響が出てきます。

終わりに

これら3つのハードルをうまく乗り越えられないと、創業融資を満額、もしくは充分に借りるどころか、
否決されて借りることさえもできないでしょう。

これら3つの壁を乗り越え、口座開設から創業融資を成功させるための準備をしましょう。

創業融資に関してお悩みの際は、大阪府大東市にある濱元行政書士事務所にご相談ください。
起業支援に経験と知識を持つ専門家が、あなたのビジネスをしっかりサポートいたします。

以上の情報を活用して創業融資を成功させて、あなたのビジネスを力強く前進させましょう!

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