中小企業・個人事業主のための「財務指標」入門ガイド
~大阪で事業融資・財務分析なら濱元行政書士事務所~

金融機関の担当者は融資の審査を行う際に、あなたから預かった会社の決算書をさまざまな角度から分析します。
この分析に使われるのが、企業の健康状態を測るための「財務指標」です。
ここでは、濱元行政書士事務所が財務指標について、分かりやすく解説していきます。

はじめに:なぜ財務指標が大切なの?

事業を始めたばかりの経営者の皆さん、「損益計算書の売上と利益は見ているけど、貸借対照表は難しそう」と苦手意識を持ったまま、そして「数字は苦手で、決算書を見ても何がいいのか悪いのかわからない」となっていませんか?
でも実は、あなたの会社の健康状態を知るために、会社の健康状態を数字で診断できる「財務指標」は、銀行融資や経営判断を有利に進めるための武器です。

財務指標とは、簡単に言えば会社の経営状況を数字で表したものです。
まるで人間の健康診断で血圧や血糖値を測るように、会社にも「経営の健康状態」を測る指標があります。
これらの数字を理解できれば、銀行からの融資も受けやすくなりますし、経営判断もより的確にできるようになります。

財務指標とは何か?基本を理解しよう

財務指標は、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)といった財務諸表の数値から計算されます。
難しく聞こえるかもしれませんが、これらは単純に言えば、この通りです。

貸借対照表(B/S):会社の「財産」と「他人資本の負債」、「自己資本の純資産」の一覧表
損益計算書(P/L):一定期間の「売上」と「費用」、そして「利益」の記録


これらの数字を使って計算した財務指標を見ることで、会社の経営状況を客観的に把握できます。

「財務指標」とは、会社の健康診断のようなものだと私は説明しています。
人間ドックで血圧や体重、コレステロール値を測って健康状態を数字で判断するように、財務指標は会社の状態を数字で客観的に表しますので会社の状態が分かるのです。

金融機関の融資担当者は、これらの財務諸表から計算した財務指標を使って

・「この会社にお金を貸しても安全か?」
・「利益が出て、返済できる体力はあるか?」
・「事業の将来性はどうか?」

を総合的に判断します。

財務指標4つのカテゴリー

財務指標はいくつもありますが、融資に関連しているものとして大きく4つのカテゴリーにを挙げることができます。

安全性:会社が倒産しにくいかどうか
収益性:どれだけ効率よく利益を出しているか
効率性:資産や資金をうまく活用できているか
資金繰りと借入余力:お金のやりくりと、さらに借りられる余地があるか

それぞれを詳しく見ていきましょう。

(1)安全性を見る指標:会社の「体力」をチェック

安全性の指標は、会社が「どれだけ安定しているか」「倒産の危険はないか」を測るものです。

①自己資本比率:財務の安定性を測る重要指標

計算式:自己資本 ÷ 総資産 × 100

具体例:
総資産:1,000万円
自己資本:400万円
自己資本比率:40%

会社の資産のうち、どれだけが「返す必要のないお金(自己資本)」でまかなわれているかを示します。
自己資本比率は、30%以上がひとつの目安とされています。

ただ、業種によって自己資本比率が異なりますので、業種の平均と比較することをお勧めします。

②流動比率:短期的な支払い能力

計算式:流動資産 ÷ 流動負債 × 100

流動資産とは、1年以内に現金化できる資産(現金、売掛金、商品など)のことです。
流動負債は、1年以内に支払わなければならない借金や買掛金のことです。

例えば、流動資産が300万円、流動負債が200万円の場合

300万円 ÷ 200万円 × 100 = 150%

この場合、短期的に支払わなければならないお金に対して、1.5倍の現金化できる資産があるということです。
一般的に120%以上あれば安全とされています。
分かりやすい例え:来月までに200万円支払う必要があるとき、すぐに現金化できる資産が300万円あるかどうか、ということです。

③当座比率:より厳しい支払い能力チェック

計算式:当座資産 ÷ 流動負債 × 100

当座資産は、現金や売掛金など、すぐに現金化できる資産のことです(商品や在庫は含みません)。
当座資産の礼として、現金、普通預金、売掛金、受取手形、営業債権、未収金、売買を目的とした有価証券、1年以内に回収予定の債権などがあります。

流動比率よりも厳しい基準で、100%以上あれば理想的です。

④固定比率:長期的な安定性

計算式:固定資産 ÷ 自己資本 × 100

固定資産(建物、機械、土地など)を、自己資本(返す必要のないお金)でどれだけカバーできているかを見ます。
100%以下が理想的で、これを超えると借入に依存していることになります。

⑤固定長期適合率:長期的な資金調達バランス

計算式:固定資産 ÷(自己資本 + 固定負債)× 100

固定資産を、自己資本と長期借入金でまかなえているかを確認します。
100%以下が健全とされています。

 

(2)収益性を見る指標:会社の「稼ぐ力」をチェック

収益性の指標は、会社がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを測るものです。

⑥売上総利益率:商品・サービスの競争

計算式:売上総利益 ÷ 売上高 × 100

売上から売った商品の原価を引いた利益(売上総利益)が、売上に占める割合です。
この数字が高いほど、付加価値の高い商品・サービスを提供していることになります。

具体例:100円で仕入れた商品を300円で売った場合

売上総利益 = 300円 - 100円 = 200円
売上総利益率 = 200円 ÷ 300円 × 100 = 66.7%

⑦売上高営業利益率:本業の稼ぐ力

計算式:営業利益 ÷ 売上高 × 100

本業でどれだけ効率よく利益を出しているかを示します。

⑧売上高経常利益率:総合的な稼ぐ力

計算式:経常利益 ÷ 売上高 × 100

本業以外の収益(受取利息など)や費用(支払利息など)も含めた、総合的な利益率です。

⑨総資本経常利益率(ROA):資産の活用効率

計算式:経常利益 ÷ 総資産 × 100

会社の資産全体を使って、どれだけ効率よく利益を生み出しているかを示します。
分かりやすい例え:1000万円の設備投資をして、年間50万円の利益が出れば、ROAは5%です。

 

(3)効率性を見る指標:会社の「動き」をチェック

効率性の指標は、会社の資産や資金がどれだけ効率よく回転しているかを測るものです。
血液の循環のように、お金の流れがスムーズかどうかを確認します。

⑩売上債権回転率:売掛金の回収効率

計算式:売上高 ÷ 売上債権

売上債権(売掛金など)が年間で何回転しているかを示します。
数字が大きいほど、早く現金回収できていることになります。

⑪売上債権回転期間:現金回収までの日数

売上債権には、大きく分けて「売掛金」「受取手形」「電子債権」の3種類があります。

計算式:売上債権 ÷ 売上高 × 365日

商品やサービスを提供してから、実際に現金が入るまでの平均日数です。
短いほど現金化が早く、資金繰りに有利です。

具体例:年間売上1200万円、売掛金が100万円の場合
売上債権回転期間 = 100万円 ÷ 1200万円 × 365日 = 約30日
つまり、平均30日で現金回収できているということです。

⑫棚卸資産回転率:在庫の動き

計算式:売上高 ÷ 棚卸資産

在庫(商品、原材料など)が年間で何回転しているかを示します。
数字が大きいほど、在庫の動きが良いことになります。

⑬棚卸資産回転期間:在庫が現金化されるまでの期間

計算式:棚卸資産 ÷ 売上高 × 365日

商品が入庫してから売れるまでの平均日数です。短いほど効率的な在庫管理ができています。

⑭仕入債務回転率:支払いのペース

計算式:売上高 ÷ 仕入債務

買掛金などの仕入債務が年間で何回転しているかを示します。

⑮仕入債務回転期間:支払いまでの猶予期間

計算式:仕入債務 ÷ 売上高 × 365日

商品を仕入れてから実際に代金を支払うまでの平均日数です。
長いほど資金繰りに余裕があることになります。

 

(4)資金繰りと借入余力:会社の「お金のやりくり」をチェック

最後のカテゴリーは、現在の資金繰り状況と、銀行からさらに借入できる余力があるかを測る指標です。

⑯償却前経常利益:実質的なキャッシュ創出力

計算式:経常利益 + 減価償却費

減価償却費は実際にお金が出ていかない費用なので、これを足し戻すことで、実際にどれだけのキャッシュを生み出しているかが分かります。

具体例:経常利益が100万円、減価償却費が50万円の場合

償却前経常利益 = 100万円 + 50万円 = 150万円

実際には150万円のキャッシュが残っているということです。

⑰借入月商倍率:売上に対する借入の適正性

計算式:借入金残高 ÷ 月商

月商に対して、どれだけの借入があるかを示します。6倍以下が安全、10倍を超えると危険水域とされています。

具体例:月商300万円、借入金残高1500万円の場合

借入月商倍率 = 1500万円 ÷ 300万円 = 5倍

⑱債務償還年数:借金を返すのに必要な年数

計算式:借入金残高 ÷ 償却前経常利益

現在の借入を、現在の利益で返済するのに何年かかるかを示します。
10年以内が理想的で、20年を超えると返済困難とみなされます。

⑲インタレストカバレッジレシオ:利息支払い能力

計算式:償却前経常利益 ÷ 支払利息

利息を何倍カバーできているかを示します。

財務指標を経営に活かすポイント

1. 定期的にチェックしよう

財務指標は一度計算して終わりではありません。毎月、四半期、年間と定期的にチェックして、変化を把握しましょう。

2. 同業他社と比較しよう

自社の数字だけでなく、同じ業界の平均値と比較することで、自社の立ち位置が分かります。

3. 改善目標を設定しよう

問題のある指標が見つかったら、具体的な改善目標を設定しましょう。
例えば「売上債権回転期間を現在の45日から30日に短縮する」など。

4. 銀行との対話に活用しよう

財務指標を理解していれば、銀行との融資相談もスムーズになります。
自社の強みと改善点を数字で説明できるからです。

まとめ:財務指標で会社の未来を切り開こう

財務指標は難しそうに見えますが、実は会社の健康状態を知るための大切なツールです。


これらの数字を理解することで:
・自社の経営状況を客観的に把握できる
・問題を早期発見し、対策を立てられる
・銀行からの融資を受けやすくなる
・投資家や取引先からの信頼を得られる
・データに基づいた経営判断ができる


最初はすべてを覚える必要はありません。
まずは自社にとって特に重要な指標から始めて、徐々に理解を深めていきましょう。

財務指標を味方につけて、あなたの会社をより強く、より安定した企業に成長させていきましょう。
数字は嘘をつきません。正しく理解し、活用することで、必ず経営の質が向上します。


濱元行政書士事務所では、決算書の読み方から財務分析、融資サポートまで丁寧にお手伝いします。
「決算書は苦手…」という方でも大丈夫。
数字を味方にして、事業の未来をもっと安心なものにしましょう。