合同会社をたたみたいとの相談がありましたので、

面談しました。

相談者を特定できるような投稿できませんので、

概要を記載します。

合同会社の資金繰りが厳しい場合を考慮すると、

合同会社の負債総額が資産総額を上回るという、

いわゆる債務超過の状態になった場合には、

法的倒産手続きを検討することになります。

法的倒産手続きに取り得る手段としては、

事業の継続を前提とした「民事再生」、

または事業の廃業を前提とした「破産」の二つがあります。

「民事再生」または「破産」の二つの場合には、

裁判所が関与する必要がありますので弁護士に相談が必要です。

合同会社を廃業するためは、まずは会社を『解散』しなければなりません。

会社法では、合同会社は下記の事由により解散すると規定されています。

 一 定款で定めた存続期間の満了 

 二 定款で定めた解散の事由の発生

 三 総社員の同意

 四 社員が欠けたこと

 五 合併

 六 破産手続開始の決定 

 七 解散を命ずる裁判

総社員の同意により合同会社を解散・清算する場合の流れや

手続きを例として説明します。

ちなみに、合同会社の「社員」とは出資者のことです。

 

1.解散の決議、総社員の同意書の作成

  総社員による解散の決議を行い、『総社員の同意書』を作成します。

2.清算人の選任

  会社の清算手続きを行う『清算人』を選任します。

会社の代表者がそのまま清算人に就任するのが一般的です。

清算人が決まったら、『清算人選任決定書』と『就任承諾書』を作成します。

3.解散及び清算人選任の登記(解散日から2週間以内)

  法務局で解散及び清算人選任の登記を行います。

  当事務所では、提携している司法書士事務所に依頼しています。

4.税務署及び自治体への会社解散届の提出

  解散後速やかに、税務署に異動届出書を提出しなければなりません。

  都道府県税事務所と市町村役場に届出が必要です。

  各自治体で定められている期限までに、

  必要書類(登記事項証明書、定款など)を添付して届出します。

  税務署へは、お付き合いのある税理士にご依頼ください。

5.解散・債権申出の公告(解散後遅滞なく)

  2か月以上の期限を定め、会社の債権者は申し出るべき旨の官報公告を

  行います。

  わかっている債権者に対しては、個別の通知が必要です。

  官報:独立行政法人国立印刷局

  申込先:独立行政法人国立印刷局直接取次店:株式会社兵庫県官報販売所や

      東京都官報販売所、大阪府官報販売所等

6.財産目録・貸借対照表の作成(清算人就任後遅滞なく)

  清算人は解散日における会社の財産の現況を調査して、

  『財産目録』及び『貸借対照表』を作成しなければなりません。

  作成した財産目録・貸借対照表の内容は、社員に通知する必要があります。

7.解散確定申告(解散後2か月以内)

  事業年度開始日から解散日までを事業年度とし、

  税務署に確定申告・納税を行います。

  確定申告には、お付き合いのある税理士にご依頼ください。

8.債権取り立て

  債権の回収や債務の弁済を行います。

  貰うものは貰い、会社の資産は現金化します。

9.債務弁済、残余財産の分配

  支払うべきものは支払い、最終的な会社に残った財産(残余財産)を

  確定させて、出資額に応じて社員に分配します。

10.清算事務の終了

  清算事務が終了したら、清算に係る計算をして、

  『清算結了承認書』及び『清算計算書』を作成します。

  作成した書面については、社員の承認を受けます。

11.清算結了の登記(社員の承認から2週間以内)

  法務局で清算結了の登記を行います。

  当事務所では、提携している司法書士事務所にいたいしています。

12.税務署及び自治体への清算結了届の提出

  税務署、都道府県税事務所、市町村役場に清算結了届を提出します。

13.帳簿書類の保存(10年間)

 

合同会社の解散の際に必要となる手続きは、以下の通りです。

・年金事務所への手続き

社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入している場合、その喪失の手続きが必要です

 

・労働基準監督署への手続き

従業員を雇っていた場合には労災保険に加入していますので、

労災保険から脱退するための手続きが必要です。

 

・ハローワークへの手続き

従業員を雇っていて雇用保険に加入していた場合、

保険資格を喪失するための手続きが必要です。

 

・許認可を必要とする事業を行っている場合

許認可の手続きとして廃業届の提出が必要な場合があります。

 

・クレジットカード会社

会社名義のクレジットカードを作っている場合は解約します。

 

・融資関係

会社を解散したからといって融資の返済が免除されるわけではありません。

会社が返済できない場合、社長が連帯保証人となっていれば、

社長の個人資産から返済を促されます。

金融機関に相談してください。

 

・リース契約をしている場合

コピー機、電話機、車両など、リース契約をしていれば、対応が必要です。

リースの場合、◯年契約などの期間縛りで契約をしていることもあります。

契約期間満了で解約することが一番の理想ですが、契約期間の途中の場合で

あれば違約金が発生したり、残金を一括で支払わなくてはいけません。

リース契約をしている会社に連絡をして、解約するとどうなるか

聞いておきましょう。

 

・事務所・オフィスやテナントの解約

会社の入っている事務所・オフィスやテナントの解約手続きを行います。

 

・公共料金

電気・ガス・水道などの公共料金も会社名義で契約をしていると思います。

会社が解散したからといってすぐに解約できないものがあるかと思います。

会社の清算事務を行うにしても、最低限電気は必要です。

解約時期を事前に供給会社に連絡をしておくことで、清算事務が終わった後に

無駄な出費をせず、速やかに解約することができることもあります。

 

・生命保険、損保関係

会社名義で契約をしているオフィスの火災保険や、生命保険など、

今後不要なものは解約の手続きを進めましょう。

 

・銀行(口座解約)

会社が解散したからといって、すぐに法人名義の銀行口座が使えなくなることは

ありません。

会社が解散したから、すぐに銀行口座が使えなくなると、清算事務期間内で

動くお金の管理をすることができなくなります。

解散後すぐに銀行口座を解約する必要はありません。清算事務を行っていく中で、

すべてのお金の動きが終了して、初めて口座解約を行う流れとなります。