創業融資で生成AIを使う際の注意点
日本政策金融公庫の創業融資を申し込みたいけれど、創業計画書に何をどう書けば
いいのか分からない。そう感じている起業家の方は多いのではないでしょうか。
最近は「ChatGPTなどの生成AIを使えば、創業計画書もある程度作れるのでは」と
考える方も増えてきたように感じます。
飲食店、美容室・ネイルサロン、ゴルフスクール、電気工事業、建設業、運送業、
ITフリーランス、整体院・サロンなど、会社員から独立して開業される方の中には、
創業計画書そのものを初めて目にするという方も少なくありません。
結論を先に言うと、創業計画書の作成に生成AIを活用すること自体は可能です。
ただ、すべてをAIに任せてしまうのは、あまりおすすめしていません。
生成AIは「たたき台」作りに向いている
事業内容やこれまでの経験をChatGPTなどに伝えれば、創業計画書に必要な項目を
整理したり、文章の下書きを作ったりすることはできます。
例えば、「電気工事業で独立予定。前職では10年間電気工事に従事していた。独立後
は以前の取引先からの受注を見込んでいる」
このような情報を渡せば、創業の動機や事業内容を、それなりの文章にまとめてくれ
ます。
文章を書くのが得意でない方にとっては、心強い道具になるはずです。
生成AIは、あなたの経歴や事業の実態までは知らない
ここで押さえておきたいのは、ChatGPTなどの生成AIが、起業家であるあなたの職歴や
キャリア、事業の実態を自動的に理解しているわけではないということです。
これまでの仕事の経験、実際の顧客や取引先との関係、自己資金の準備状況、店舗や設備
の見積書といった情報は、あなたが入力しない限りAIの文章には反映されません。
入力する情報が少ないまま出力された文章をそのまま使うと、当たり障りのない、どこか
他人事のような創業計画書になりがちです。
「大阪で美容室を開業するので創業計画書を作って」といった短い指示だけでは、正直、
誰にでも当てはまるような内容になってしまいます。
創業者自身の経験や強み、開業する地域、想定する顧客層、料金設定、競合との違いなど
を、できるだけ具体的に伝えることが大切です。
売上・収支計画をAI任せにするのは危険です
特に注意したいのが、売上や利益といった収支計画の部分です。
「美容室だから月商100万円」というように、ChatGPTに数字だけを作ってもらっても、
集客方法や営業日数、経費といった根拠が伴っていなければ、その数字には意味があり
ません。
飲食店などの実店舗の事業であるなら人通り、1人あたりの平均客単価、1日あたりの来店
人数、1月あたりの営業日数から、売上を積み上げて考える必要があります。
電気工事業であれば受注件数と平均単価、ゴルフスクールであれば会員数と月額料金、飲食
店であれば客単価・客数・営業日数など、業種によって組み立て方は変わってきます。
家賃、人件費、仕入れ、広告費、車両費といった経費も、漏れなく計上しなければなりません。
ChatGPTなどの生成AIに数字を「作らせる」のではなく、自分が実際に見込んでいる数字を
整理し、それを文章や計算にまとめるためにAIを使う。
この順番を意識していただきたいところです。
面談では、自分の言葉で説明する必要があります
創業計画書をChatGPTなどの生成AIで作成したとしても、日本政策金融公庫や民間金融機関と
の面談を、AIが代わりに受けてくれるわけではありません。
「なぜこの事業を始めるのか」
「なぜこの売上が見込めるのか」
「これまでどんな経験を積んできたのか」
「なぜこの金額の融資が必要なのか」
こうした質問には、創業者自身がその場で答えられる必要があります。
だからこそ、ChatGPTなどの生成AIが作った文章をそのまま提出するのではなく、内容が自分の
経験や考えと一致しているかを、一度立ち止まって確認していただきたいと思います。
生成AIを使うなら、この順番で
創業計画書に生成AIを取り入れるなら、次のような流れをおすすめしています。
1. まず自分の情報を整理する
創業動機、前職での経験、資格、顧客や取引先との関係、自己資金、必要な設備、開業費用などを
書き出します。
2. ChatGPTなどに文章の整理を依頼する
「この内容を創業計画書の創業動機として整理してください」というように、具体的に依頼します。
3. 数字は自分で確認する
売上、経費、利益、必要資金、借入希望額は、実際の見積書や計画をもとに、自分の目で確かめます。
4. 自分の言葉に修正する
AIが作った文章をそのまま使わず、金融機関の担当者に自分で説明できる表現に直します。
5. 第三者にチェックしてもらう
自分では気づきにくい矛盾や、根拠の弱い数字がないか、一度他の人に見てもらうと安心です。
生成AIと専門家、どちらを使うべきか
ChatGPTなどの生成AIは、創業計画書作りを支える便利な道具です。
ただ、「入力すれば融資に通る創業計画書が自動でできあがる」というものではありません。
特に初めて開業する方の場合、事業内容自体は理解していても、資金計画や収支計画を第三者に伝
わる形で整理するのは、思っている以上に難しいものです。
そうした場合は、まずChatGPTでたたき台を作り、そのうえで専門家に確認してもらうという進め方も
一つの方法です。
重要なのは、起業家・事業者自身が自身のことや事業内容を理解した上で、金融機関に自分自身の言葉で
説明できる創業計画書を作成することだと考えます。
まとめ
ChatGPTなどの生成AIを使って、創業計画書のたたき台を作ることは可能です。
文章の整理や構成づくりには役立ちますが、創業動機、事業経験、売上の根拠、自己資金、必要資金、
収支計画といった重要な部分を、AIにすべて委ねてしまうのはおすすめできません。
大阪で日本政策金融公庫の創業融資を検討されている方は、ChatGPTを「創業計画書を作ってくれる
代行者」としてではなく、自分の考えを整理するための補助ツールとして活用していただければと思い
ます。
濱元行政書士事務所では、創業融資を検討されている方に向けて、創業計画書・収支計画書の作成
支援や、必要資金・自己資金・借入希望額の整理など、融資申込みに向けた準備をサポートしてい
ます。
「ChatGPTなどの生成AIで一度作ってみたけれど、この内容で大丈夫なのか分からない」という場合
も、申込み前に一度内容を整理しておくことをおすすめします。お気軽にご相談ください。


